池袋新文芸坐「阪東妻三郎生誕100年記念映画祭」



 池袋の新文芸坐で行われた「阪東妻三郎生誕100年記念映画祭」(5月18日(土)〜6月14日(金))。生誕100年を迎えた偉大な映画スター阪東妻三郎出演の、現存する全作品を上映するという企画で、大映、日活、松竹、東映、東宝、マツダ映画社が協力して実現した。
 阪東妻三郎は、「雄呂血」などの無声映画時代の若い頃は、本当にきれいな顔をした神経も身体も鋭敏な人気スターという感じだが晩年の「破れ太鼓」や「無法松の一生」などは、その役者ぶりと重厚な存在感が圧倒的である。阪妻のようなスターはなかなかいない。
 連日詰め掛ける大勢の観客。もちろん年配の根強い阪妻ファンは多いのだが、「阪妻ってかっこいい!」という若い女性もいて、立ち見となる日も。衰えぬ阪妻人気を実感した1ヶ月だった。
 神田北陽(現在山陽)も活弁に挑戦。講談に映像がついた感じのしゃべりっぱなしの語りが新鮮で楽しかった(松田春翠先生の口調に似ているところも)。
 私は、サイレントフィルム断片集という形で上映された作品の中の、『小雀峠』と『開花異相』を担当。『小雀峠』は唄の出てくる映画で、父と生き別れた子が、死んだ母の歌を唄いながら父を探して歩き、その歌をきっかけに親子とわかる(阪妻の現存する最古の出演作品で、彼は悪役)。短編だが、なかなかいい作品である。歌詞に合わせて勝手に作ったメロディーはけっこう牧歌的であっていたと思うのだが。
   
 
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